「女たちの戦場」第十一話:急展開
Love 2017.03.15 UPDATE

「女たちの戦場」第十一話:急展開

有坂さんが、私たちの噂を流した犯人を知っている?

それは、かなり衝撃的な内容だった。だからというのもあり、社内でそれ以上の話はできず、詳しいことは仕事が終わってから……ということになった。

「向井……じゃない、奈々子。遠慮せずに入ってこいよ」

終業後、私は有坂さんのマンションへやって来た。付き合うことになって、彼の自宅へ行くというのは、やっぱり緊張する。そんな私に気づいた有坂さんは、優しく手を差し出してくれた。

male is standing  and shows outstretched hand with open palm

「はい……。お邪魔します」

ゆっくり手を出すと、彼は指を絡めてその手を握ってくれる。そして自分の方へ引き寄せると、私を抱きしめた。強引な有坂さんに、胸はドキドキする。

「やっと、奈々子に想いを告げられた。そう考えたら、この状況も悪いことばかりじゃなかったのかもな」

冗談めかした言い方に、私もクスッと笑う。

「どこまでも前向きな有坂さんが、私は好きです」

私がそう言うと、彼は私の唇にキスをした。そして軽やかに、私を抱き上げた。

「有坂さん⁉︎」

驚く私に有坂さんはニッとした。

「遠慮をしなくていいってことだよな」

有坂さんは、迷いなく寝室へ連れて行く。彼の部屋はキレイに片付けられていて、シンプルながらも都会的な雰囲気だ。

有坂さんの甘い香りがするベッドに寝かされて、優しく身体を愛撫される。その気持ち良さに反応するように、私は声が漏れていった。“男”の顏を見せる有坂さんに、私の胸はときめくばかり。知らなかった彼の一面に、久しぶりに安らぎと癒やしを感じた気がする……。

有坂さんとの甘い一夜のあと、次の日は休日で、彼はあのビラを撒いた犯人を教えてくれた。

Morning coffee

「えっ⁉︎部長なんですか?」

まさかの人物の名前に、私はしばらく呆然となる。有坂さんはあくまで真剣に、そして慎重に言った。

「まだ、証拠はない。ただ、部長はある秘密を抱えているらしい。そのカモフラージュに、オレたちを利用した可能性がある」

「カモフラージュですか?なぜ、私たちが……」

「わからない。オレの同期で、情報通の奴が教えてくれたんだ。もしそうなら、絶対に許せない」

いつもは見せない強い口調で、有坂さんは言う。それは私も同じ気持ちで、大きく頷いた。だけど、どうやったら証拠を掴めるのだろう。その悩みは、休み明けの出勤で全て解決された。

business people entering into the lobby

朝から社内は騒然として、私たちの課にまで話が飛んできたほど。部長の奥さんが、会社に乗り込んできたらしい。部長は片瀬さんと不倫をしていたらしく、激怒した奥さんがやって来たのだった。

「有坂さん……」

声をかけると、険しい顔の有坂さんは、黙ったまま頷いた。

私たちを陥れたかもしれない部長が、片瀬さんと不倫……?

それだけでも衝撃なのに、さらに奥さんまで乗り込んでくるなんて……。

文:花音莉亜