デリケートゾーンのかゆみが生理前に起きやすい理由【医師監修】
Beauty 2017.04.21 UPDATE

デリケートゾーンのかゆみが生理前に起きやすい理由【医師監修】

※ この記事は、2017年4月21日に追記しました!
 
 
普段はデリケートゾーンに異常のない人でも、生理前になるとかゆくなることはあります。ただでさえ生理前から生理中は何かと大変なことが多く、憂鬱になるものです。不快な症状はできるだけ避けたいですね。

ここでは、なぜ生理前にだけかゆみが来るのか、予防する方法はないのか、何か病気ではないか、などのお悩みに答えていきます。

(監修・取材協力)
辻奈央先生

辻 奈央先生
東京皮膚科・形成外科、イーストワン皮膚科・形成外科 2009年北里大学医学部卒業、日本大学板橋病院初期研修。2011年日本大学板橋病院 初期研修終了、日本医科大学麻酔科勤務。2013年大手美容外科院長を経てイーストワン皮膚科クリニック開業。日本形成外科学会 会員、日本美容外科学会 会員、日本麻酔科学会 会員、日本アンチエイジング外科学会 会員、日本医学脱毛学会 会員。株式会社N&Yホールディングス http://nyholdings.net

1.なぜ生理前にかゆくなるのか?


生理前のお肌は敏感


生理前にデリケートゾーンがかゆくなる理由ですが、もともとデリケートゾーンの皮膚は薄くて刺激を受けやすいものです。

その上、生理前の女性は、身体がとても敏感になり、わずかな刺激にも反応しやすくなっています。そのため、普段なら影響を受けないような、ささいな刺激もかゆみの原因になるのです。

例えばきつくて通気性の悪い下着による蒸れや摩擦は、かゆみの原因になります。また肌に合わないナプキンも悪影響があります。

生理前にはおりものの量が増えるため、蒸れが強くなり、また栄養源が増えることで雑菌が繁殖しやすくなり、これもかゆみを招きます。

かゆみを抑える下着


生理前に限らず、デリケートゾーンのかゆみを抑える方法としては、まず下着やナプキンは通気性のいい、肌に合うものを選ぶことです。

シルクや綿100パーセントで、余裕のあるサイズやトランクス型など、通気性がよく、吸湿性や速乾性があるもの、ゴムなしや特別なゴムで身体をしめつけない下着がおすすめです。

ナイロンやポリエステルなど化学繊維が入った下着は、通気性が悪くて摩擦も強いので避けましょう。

ナプキンでかゆみを抑える


最近はナプキンも吸収力が高くなり、多い日でも安心できるようになりました。それだけに、つい長時間つけ続けてしまいます。

しかし吸収力は高くても、通気性はそれほどではなく、ナプキンを長時間つけていると、雑菌が繁殖する絶好の環境になってしまいます。

かゆみが気になる場合は、通気性がよく肌にやさしいコットンやガーゼ、また形状が波型などのナプキン、おりものシートを使って、3、4時間おきの交換を忘れないでください。人によって肌とナプキンとの相性もあるので、何種類か小分けパックを買って試してみて、自分に一番いいものを探すのもいいでしょう。

間違ったナプキンの使い方にご注意


またナプキンの使い方を間違っていることも、意外と多いものです。ナプキンは製品によって下着への付け方が微妙に違っていて、誤った使い方をすると機能を十分に発揮できなくなり、かゆみの原因になります。説明書をきちんと読み、正しく使ってください。

強く洗うのは厳禁


デリケートゾーンにかゆみが出ると、つい入浴時に強く洗ってしまったり、膣内まで洗ってしまったりすることもありますが、これはまったくの逆効果です。

過剰な洗浄は、肌表面でバリア機能を果たす角質層や、肌に必要な皮脂まで落として乾燥肌、敏感肌にしてしまい、これもかゆみの原因になります。また後述する善玉菌のデーデルライン桿菌まで流してしまうと、かえって雑菌を増やす結果になります。

お風呂で洗うときには、洗浄力が強いアルカリ性石鹸は使わず、デリケートゾーン専用の弱酸性石鹸を使いましょう。

石鹸を手に取って泡立て、指の腹で丁寧に洗いましょう。ただし善玉菌を洗い落とさないよう、膣内は洗わないでください。洗い終えたら、ぬるい湯で丁寧に流します。熱いお湯や石鹸の洗い残しも、肌トラブルからかゆみを引き起こすので注意してください。

かかないかゆみ対策


デリケートゾーンがかゆいときでも、かいてしまうと肌を傷つけ、症状を悪化させます。かゆみが強いときは、その部分を冷やすのも効果的です。血行を抑えることでかゆみを軽減できます。

ただ人前で難しいときは、足の甲を冷やしましょう。下半身が冷えて同じ効果が期待できます。

また、市販のデリケートゾーン用軟膏も、局所麻酔や、かゆみの原因物質であるヒスタミンの活動を抑える成分が含まれているので、かゆみ対策には有効です。

ただ、カンジダ膣炎などの病気を発症している場合は、市販薬をつけるとより症状が悪化することもあるので、使う前には医師や薬剤師に相談してください。

2.PMSによるかゆみ


PMSとは


PMS(月経前症候群、プレ・メンストラル・シンドローム)とは、生理の約二週間前から女性に出る、心と身体のさまざまな不調のことです。

身体的には腹痛や腰痛、頭痛、肩こり、肌荒れや吹き出物、乳房の張り、食欲不振。精神的には不安定、苛立つ、憂鬱、集中力がなくなるなど、いろいろな症状が起こります。その中にはデリケートゾーンのかゆみも含まれます。

原因ははっきりわかっていませんが、女性の月経周期をコントロールする二種類の女性ホルモン、エストロゲンとプロゲステロンの大きな変動が影響していて、女性の8割がこの症状に悩んでいるともいわれます。

PMSを軽減する方法


PMSは病気ではなく、女性の身体機能に基づく症状なので、治すことはできません。ただ軽減することはできます。

PMSを重くする要因は、ストレス、バランスの悪い食事やお酒、タバコなどの嗜好品、自律神経の乱れや体力の低下などです。

まずPMSに自覚を持つことです。自分の生理周期を把握し、PMSによるイライラや不調を、PMSの症状と自覚することで、過剰なストレスを避け、PMS中には無理をしないよう努めることもできます。自分の症状をメモしておき、落ち着いて対策を考えることも有効です。

ストレッチやヨガ、散歩や深呼吸など適度な運動で血行をよくし、リラックスしてストレスを避けることも効果的です。特に真面目で責任感が強く、完璧主義な人ほどストレスをためやすいので注意してください。

PMSを軽減する食事


また毎日、栄養バランスのいい食事を取り、香辛料やコーヒー、お酒やタバコなどの刺激物を避けるなどでも、PMSを軽減させることができます。

血糖値をゆっくり上げることは感情の落ち着きにつながります。甘いものは避け、穀物やイモ、豆類など、血糖値をゆっくり上げてくれる食品を摂ることです。一日の食事を4、5回に分けて摂るのもいいでしょう。

かつお、レバー、海草やナッツなどに含まれ、心を落ち着かせるビタミンB6、カルシウム、マグネシウム。大豆製品に含まれエストロゲンに似た働きをするイソフラボン。ブロッコリー、アーモンドなどに含まれ、神経伝達物質の代謝に関係するビタミンE。これらはPMSの緩和に効果がある栄養素です。

また鉄分不足もPMSを悪化させるので積極的に補ってください。特にレバーや牛、豚のモモ肉、魚介類ならカツオ、マグロ、サンマやカキ、あさり、ひじき、煮干しなどに含まれるヘム鉄という鉄分が有効です。

3.生理前に症状が出る病気


それ以外で生理前にデリケートゾーンがかゆくなる原因として、細菌による病気の可能性も考えられます。

膣内ではデーデルライン桿菌(乳酸桿菌、グラム陽性桿菌、ラクトバチルス)という善玉菌が乳酸を作り出し、膣内をph4.5以下の酸性に保っていて、雑菌の侵入や繁殖を防いでいます。

これを膣の自浄作用といい、この働きや免疫力により、普段は病気の原因菌が働くのを抑えていますが、生理前のデリケートな状態やホルモンバランスの乱れで、免疫力や自浄作用が乱れることにより、原因菌が増殖して症状が出てしまうのです。

カンジダ膣炎


かゆみを起こす病気として多いのが、カンジダ膣炎(膣カンジダ症)です。カンジダ菌は真菌(カビの一種)で、誰しもが身体にもつ常在菌です。しかし免疫力の低下により、カンジダ菌が異常に増殖することで発症します。

性病ではないため性交経験のない女性でも発症することがあり、女性の5人に1人はかかった経験があるといわれる、女性には非常にありふれた病気です。

症状は、外陰部に炎症が起こり、激しいかゆみと熱を感じるようになります。また、おりものが白くてボロボロしたチーズや酒かす状になり、強い生臭さを発します。

性器ヘルペス症


性器ヘルペス症は、性行為から単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染することで発症するSTD(性感染症)で、はじめて感染したとき(急性型、初発型)は、デリケートゾーンのかゆみや違和感、だるさや発熱からはじまり、水疱や潰瘍ができて痛むようになります。

鼠径部(太ももの付け根)のリンパ節が腫れて痛むことも多く、症状が重いと入院が必要になることもあります。

そして一度感染すると、身体からHSVは完全に排除されず、神経節に潜み続けます。そして疲労や月経などの影響でHSVが活性化すると、神経から粘膜や皮膚に現れて症状を起こすことがあります。これを再発型といい、 症状は比較的軽く、デリケートゾーンに小さな潰瘍や小水疱の集まりができてかゆみを覚えますが、その多くは一週間ほどで治まります。

性器ヘルペス症に感染した経験があり、生理前にこのような症状が出るときは、再発の可能性を考えて婦人科を受診してください。

その他の病気


他にも、細菌性膣炎など膣の自浄作用の乱れから起こる病気や、生理前に原因菌が活発化するSTDは多く、さまざまな症状を引き起こすことがあります。病気ではと思ったときは、迷わず婦人科で診察を受けましょう。

まとめ


生理前にデリケートゾーンがかゆくなる原因は、おわかりいただけたでしょうか?

今回ご紹介した対処法は、生理前に限らず、不快なかゆみのほか、デリケートゾーンの臭いや黒ずみなどを抑える結果にもつながります。

デリケートゾーンを適切にケアして、健康に保つことは、かゆさに限らず。あらゆる症状を解消する秘訣なのです。