デリケートゾーンで、かゆみと腫れが同時に出る原因【医師監修】
Beauty 2017.05.25 UPDATE

デリケートゾーンで、かゆみと腫れが同時に出る原因【医師監修】

※ この記事は、2017年5月25日に追記しました!

デリケートゾーンのかゆみは、例えば下着内が蒸れることや皮膚への刺激、また生理時のホルモンバランスの乱れによっても起こります。ただそれは一時的なもので、生理が終わる、デリケートゾーンの環境を改善するなどすれば自然に治まります。

しかし、かゆみが治まらず、しかもデリケートゾーンののまわりが赤く腫れてきたりするると、病気が心配になります。

女性の外陰部とその周辺の炎症を外陰炎と言います。膣内部の膣炎と併発することが多く、まとめて外陰膣炎と呼ばれることもありますが、実際にその原因はいろいろな病気であることが多いのです。

ここでは、デリケートゾーンにかゆみと腫れが出た場合、考えられる病気について解説していきます。

(監修・取材協力)
辻奈央先生

辻 奈央先生。
東京皮膚科・形成外科、イーストワン皮膚科・形成外科 2009年北里大学医学部卒業、日本大学板橋病院初期研修。2011年日本大学板橋病院 初期研修終了、日本医科大学麻酔科勤務。2013年大手美容外科院長を経てイーストワン皮膚科クリニック開業。日本形成外科学会 会員、日本美容外科学会 会員、日本麻酔科学会 会員、日本アンチエイジング外科学会 会員、日本医学脱毛学会 会員。株式会社N&Yホールディングス http://nyholdings.net

アトピー性皮膚炎


アトピー性皮膚炎とは、皮膚にかゆみがある炎症が出たり治まったりを繰り返す症状です。原因はまだはっきりわかっていませんが、アレルギー体質、皮膚のバリア機能の低下、細菌やアレルギー物質による刺激、疲労や病気、ストレスなど、複数の要因が重なって起こると考えられています。

症状は、赤みがある、ブツブツ盛り上がる、ジクジク水分の多い、しこりのような各種の湿疹が出て、激しいかゆみを覚えます。

女性の場合、その構造から外陰部にアトピーを発症することも多く、後述するカンジダ膣炎を併発することがあります。そうなるとアトピー治療用のステロイドがカンジダ膣炎を悪化させることになり、治療が難しくなります。

発症した場合、診察は皮膚科でも大丈夫ですが、デリケートゾーンに出た場合は、婦人科や泌尿器科でもいいでしょう。

カンジダ膣炎(膣カンジダ症)


外陰部や膣内に炎症が起こり、激しいかゆみのほか、おりものが白くてボロボロしたカッテージチーズ状になり、生ぐさい臭いを発します。性交や排尿のときに痛むこともあります。

原因であるカンジダ菌は真菌(カビの一種)で、空気中に浮遊し、誰もが身体にもつ常在菌です。

通常は免疫力や膣内の善玉菌(デーデルライン桿菌)の働きで抑えられていますが、病気や疲労、ストレス、出産などの原因で免疫力が低下し、膣内のカンジダ菌が増殖すると発症します。そのため性交経験のない女性でも発症することがあり、女性の20パーセントに罹患の経験があるともいわれます。

予防法は、免疫力を下げる生活習慣を避け、善玉菌を減らさない範疇でデリケートゾーンを清潔に保つことです。

診察は婦人科です。膣を洗浄したのち、抗真菌薬によって治療します。原因菌がわかっているので比較的治療しやすい反面、再発もしやすい病気なので注意が必要です。

細菌性膣炎


膣内では、善玉菌のデーデルライン桿菌が常に乳酸を作ることで酸性に保たれ、雑菌の繁殖を防いでいます。しかし何らかの原因でこの善玉菌が減少し、雑菌が増えることで出る症状の総称です。

自覚症状は乏しいのですが、外陰部にかゆみや熱感が出ることもあります。またおりものが黄色か灰色で水っぽくなり、生ぐさい臭いを発するようになります。

治療は婦人科で、まず膣洗浄などで膣内の菌を除去します。ただ、このとき善玉菌まで洗い流してしまうため、再発のリスクが高くなります。処方された薬は症状が治まっても続けてください。途中で服用をやめると原因菌に薬物耐性がついてしまい、再発したとき治療が難しくなります。

症状がないからといってこの病気を放置すると、STD(性感染症)やHIVへの感染リスクが高まるほか、PID(骨盤内炎症性疾患)の感染リスクも上がり、不妊や子宮外妊娠の原因となります。また膣炎、子宮頚管炎、絨毛膜羊膜炎などに至れば早産や流産の原因にもなります。

バルトリン腺炎


バルトリン腺とは膣口の左右にあり、性交時に潤滑剤となるバルトリン腺液を分泌する腺で、この腺に細菌が感染して起こる病気です。発症するとバルトリン腺の開口部が赤く腫れ、かゆみだけでなく、痛みが起こります。

開口部が腫れでふさがるとうみがたまり、押すと痛む膿瘍ができます。これをバルトリン腺膿瘍といいます。膿瘍は慢性化することが多く、そうなると患部の膨張や痛みのほか、痛みによる歩行困難や発熱が起こることもあります。

原因となる菌は大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などのほか、淋菌などの性感染症を起こす細菌でも発症します。

診察は婦人科になります。初期であれば抗生物質と消炎剤の投与で治療できますが、非常に再発を繰り返しやすい病気でもあるので、早期の治療が必要です。

性器ヘルペス症


単純ヘルペスウイルス(HSV)が、主に性行為を通じて性器に感染することで発症するSTD(性感染症)の一種です。HSVには1型と2型があり、1型は主に口や目など上半身への感染が多く、2型は性器などの下半身への感染が多いとされます。

女性がはじめてHSVに感染(急性型、初発型)すると、一週間ほどで外陰部にかゆみや違和感を覚え、やがて水疱や潰瘍ができて痛むようになります。痛みの前にだるさや発熱があり、鼠径部(太ももの付け根)のリンパ節が腫れて痛むことも多いです。痛みのため歩行や排尿も難しくなり、入院が必要になることもあります。

一度感染したHSVは完全に排除されず、神経節に潜みます。疲労や月経などでHSVが活性化すると、神経から粘膜や皮膚に現れて症状を起こす(再発型)ことがあります。 この症状は比較的軽く、小さい潰瘍や小さな水疱の集まりができます。発熱やリンパ節のはれなどはほとんどなく、大半は一週間ほどで治ります。

診察は婦人科で、主に抗ウイルス薬によって治療します。

 

▼ トリコモナス膣炎、尖圭コンジローマについては次のページで解説します