日本人は古くからゲームを愛好してきました。日本最古のボードゲーム「盤双六(ばんすごろく)」には、緻密さや判断力、チームワーク、攻める姿勢、冷静な戦略などゲームのエッセンスが詰め込まれています。ギャンブルの歴史は古く、日本書紀(西暦720年に完成した日本最古の歴史書)にも記述があります。日本人が古くからスリルを愛する気持ちを持っていたことを知り、勇気ある男が織りなす物語を読むのは実に楽しいものです。世紀の偶然と類まれな勝負根性に魅せられた{どきょう}世界中のギャンブラーたち。世界の歴史に残る大きな賭けのエピソードをご紹介しましょう。

ファントムギャンブラーまたはスーツケースマンと呼ばれた男

史上最大の賭けについて語るとすれば、ファントムギャンブラーの物語に触れないわけにはいきません。事件は1980年9月に起こりました。ウィリアム・リー・バーグストロム氏は、現在の価値で約260万ドルに相当する77万ドルの現金を持って、ラスベガスのビニオンズ・ホースシューカジノに身元を明かさずふらりとやってきました。彼が持っていたのは、現金の詰まったスーツケースと空のスーツケースの二つ。当時のカジノでは、初めて訪れた客は賭け金の制限なしに自由に賭けられるようになっていました。バーグストロム氏は、サイコロのひと振りに持参した現金全額を賭けたのです。記録に残る単一の賭け金としては、当時米国史上最大のものでした。鋼の心臓の持ち主であったバーグストロム氏は、予告通りに勝利を収め、現金の詰まった2つのスーツケースを持ってカジノを後にしました。

伝説の男が同じことを繰り返すことは滅多にありませんが、バーグストロム氏は1984年に再び伝説をつくりました。ある晴れた夜に、同じカジノでサイコロのひと振りに、現在の130万ドルに相当する53万8000ドルを賭けたのです。しかし彼は数か月後、再度100万ドルをサイコロに賭け、見事に負けてしまったのです。

大物ギャンブラーのプロボクサー

プロボクサーのフロイド・メイウェザーは、超高給取りのスポーツ選手として有名ですが、彼はボクシングとは別のタイトルホルダーでもあります。スポーツイベントに賭ける大物ギャンブラーの一人なのです。「運命の女神は勇者に味方する」とは有名な諺ですが、彼は、NBAのマイアミ・ヒート対インディアナ・ペイサーズの試合でヒートに賭け649万ドルを荒稼ぎしました。周囲は「金の亡者」という批判を込めて、彼に『マネー』というニックネームを付けました。

時には手痛い損失を被ることも

80万ポンドの勝利の可能性が逃げていく瞬間は、心臓発作に勝るショックですが、ギャンブラーの勇気は鋼鉄製です。2010年のサッカーワールドカップ大会での出来事でした。とあるギャンブラーが大胆にも、準決勝の試合でドイツが11対10でスペインに勝つという予想に41万7000ポンドを賭けたのです。ゲーム前半は両チームともスコアレスと順調に進んだものの、後半に入って73分にスペインがゴールを決めます。その後ドイツのペナルティキックは認められず、試合終了後、彼は大金を失ったことを知ったのです。

さまざまな分野のギャンブラーたち

スコットランドで英国からの独立をめぐる住民投票が行われた際に、「独立に反対」の票が多数を占めるという予想に90万ポンドの大金を賭けた勇敢な政治ギャンブラーは、投票結果が発表されたときに19万3000ポンドを手にしました。ここでやめておけばよかったのですが、勝利の味を知った人間が簡単にやめられないのがギャンブルというものです。その後彼は、議会での審議結果の予想に20万ポンドを賭け、見事に負けてしまいました。